2024関東ロードミニ選手権最終戦その2
市川拓の『五十にして立つ』ウエブ版第2回
前回では2024年の締めくくりとして筆者市川が出場し、激戦のレースの醍醐味を味わったライディングスポーツカップ関東ロードミニ選手権最終戦の模様をお伝えしました。このレースの同日、近年、桶川スポーツランドの関東ロードミニ、タイヤ17インチ、4ストローク125ccマシンが競う、インポートミニクラスに数多く出走する、GSX-R125のレースユーザーの方々に取材を行ないました。
2018年の国内販売開始以来、原付二種の街乗りバイクとしても大人気のGSX-R125。小さいながらもエンジン、車体ともにスポーツ性が高く、この最終戦でも、合計35台のGSX-Rがエントリー。各々のGSX-Rのレースに向けたモディファイ、それを駆るライダーも実に様々で個性豊か。その中から3名の選手とマシンをご紹介したいと思います。
蜂屋弘美さん(宮城県在住)

参戦クラス:インポートミニエキスパート
ミニバイクレースでは国内各地でレジェンド級の大活躍。カウルのビルダーとしても有名な蜂屋弘美さん。
「宮城県でBeehouseというオートバイのカウルを制作、販売するショップを営んでいます。昔からミニバイクレースが好きで、ここ7年くらいはグロムのレースが活動のメインなんですが、桶スポにもよく遠征しています。そこでインポートミニの盛り上がりを見て、GSX-Rでエキスパートクラスに出場することにしました。カウルはすべてオリジナルです。ウイングレット、どうですか? カーボン製ですよ。思いつきで造っちゃいました。販売もしています。レースによっては車検は通らないかも知れませんが、関東ロードミニでは合格でした」
「リアサスは台湾のGJMSというメーカーで、タイヤは本当はダンロップを使いたかったんですが、来年(2025年)タイヤのレギュレーションが調整されたら投入するつもりです」

Beehouseの詳細はこちら


松井 仁さん(埼玉県在住)

参戦クラス:インポートミニミッド(現在はエキスパート)
30年以上途切れることなくレース活動をしてきた、愛称『ノムート』こと松井さん。
「90年代は…青木治親選手と藤原克昭選手のペアがカップヌードルカラーで優勝した、92年の鈴鹿4耐で走りましたね。エントリ−が353台。NSR250Rで、予選から『何かが降りてきた』感じで決勝進出。レースもスタートから30台以上抜いて、ですが転倒してしまい、35位で何とか完走でした。桶スポはオープン当初から走っています。GSX-R125はインポートミニをやるならこれ一択、という感じでしたね。タイヤは速い人たちの定番、フロントはブリヂストンのBT39SS、リアはピレリのディアブロの組み合わせ。最近は桶スポで一緒に走っていたチビッ子たちがみんな立派な選手になって、彼らを応援するため、全日本ロードレースを見に行くのも楽しみですね。キラキラの看板とか、何枚も手作りしてね。いわゆる『推し活』ですよ」



小塚育功(やすのり)さん(埼玉県在住)

参戦クラス:ノービスミニ
通勤からレースまで、GSX-R125で遊び尽くす達人の小塚さん。
「天気のいい日に通勤で乗っているGSX-R125で、そのままレースに出ています。桶スポに来るのも自走です。自走の苦労ですか? タイヤウオーマーが使えないので、日当たりのいい場所にバイクを置いてタイヤを温めたり…。でも最近は桶スポでレース仲間がウオーマーを貸してくれるんですよね。パドックの場所取りも、ありがたいことに桶スポの運営の方々が気を使ってくださいます。レーシングスーツも家から着用ですが、夏は桶スポはプールがありますからね。短パンにビーチサンダルもGSX-Rに搭載します。マシンは、ノービスはタイヤの選択肢が自由なので季節で銘柄をいろいろ試しています。冬以外はフロントはブリヂストンのBT39SS、リアはダンロップのQLite。寒い時期は、前後IRCのRX03が調子いいんですよ」
「自走でもレースではきっちりヒザをすって走っています。そこまでやってこそ見える領域、世界がありますからね」



ライディングスポーツ本誌でも、2022年の関東ロードミニ最終戦において、今回と同様に桶川スポーツランドのGSX−R125ユーザーへの取材を行ないました。それから2年、さらにこのシリーズ戦にはGSX−Rのみならず、国内販売が開始されたヤマハYZF−R125、そしてアプリリアRS125も少数ながら出走し、17インチ4ストローク125ccマシンのエントリー台数は増加。ホビーレースとして盛況を見せています。今回取材した小塚選手のように、GSX−Rには通勤仕様でもハイグリップタイヤを装着すれば、ローカルレースへの参加が可能なポテンシャルの高さがあります。桶川スポーツランドに限らず、各地のミニサーキットは初心者向けのスポーツ走行枠を設けているところも多く、サーキット走行初体験にもおすすめ。あなたもGSX−R125でサーキットデビューしてみませんか?
著者紹介
市川 拓(いちかわ たく)
1970年東京生まれ。20代のころから立体オブジェを制作し、映画やドラマの美術セットや撮影用の怪獣の着ぐるみも手掛ける。90年代にGP250の畠山泰昌選手のデザイナー兼ヘルパーとしてグランプリに同行した。モトクロスレースの経験あり。
撮影
石崎伸樹
協賛各社
アライヘルメット
ウエストパワー
MHプロダクツ
スズキ株式会社
クラブサークル
J-Trip
STOMPGRIP 有限会社エム
ダブルオーグラスギア
hit-air(エアバッグ)プライドワン
ブリヂストン
ベスラ株式会社
ベビーフェイス
ベルレイオイル
マーキュリープロダクツ
MotoUP桶川スポーツランド