全日本ロードレース最終戦鈴鹿MFJ-GPのST600決勝は長尾健吾(TEAMKENKEN YTch)が制した。

朝から降り続いた雨。ウエット宣言が出され、2周減算の11周で争われた。

ホールショットを奪ったのは松岡玲(ITO RACING BORG CUSTOM)。オープニングラップを制したのは小山知良(JAPAN POST Honda RACING TP)。すぐに逃げ始めた小山。松岡を捕らえて2番手に浮上した長尾が小山との差を詰める。後方では伊達悠太(AKENO SPEED・MAVERICK)と南本宗一郎(AKENO SPEED・YAMAHA)が4位とタイトルをかけての争いを開始。

南本は集団から抜け出して松岡を追い始め、表彰台争いを挑む。伊達は田中啓介(NitroRyotaRacing 16)、千田俊輝(SE COMPETITION)、岡部怜(NitroRyotaRacing 14)との5位争いに移行。

小山と長尾のトップ争い、松岡と南本の表彰台争いは、接近戦のまま周回を重ねる。

7周目。南本が松岡を捕らえて3番手浮上。ペースを上げてトップ2台を追いかけ始める。8周目に長尾が小山を捕らえてトップ浮上。しかし翌周に小山が首位奪回。小山と長尾のバトルが激しくなったことで南本が2台との差を詰める。

真っ先にラストラップに突入したのは小山。最終シケインで仕掛けたのは長尾。真っ先に最終コーナーを立ち上がった長尾は2連勝を飾った。伊達は5位でゴールしてタイトルを獲得した。

「最終ラップはシケイン勝負だなと思っていました。いいレースができました」と長尾健吾

優勝/長尾健吾(TEAMKENKEN YTch)

「雨の感触が悪くなかったので、しっかりペースを作ればトップでレースができるかなと思ったのですが、小山選手のペースがかなり速かったです。最終ラップはシケイン勝負だなと思っていました。あの場面を作ることができたのは、チームがそういうバイクを造ってくれたからです。いいレースができました。鈴鹿は初優勝なので、かなりうれしいです」

「あんなにトップを走ったのは何年かぶり。ようやく自分のいるべきところに戻りました」と小山知良

2位/小山知良(JAPAN POST Honda RACING TP)

「去年の10月26日に大ケガして、苦しい1年間でした。去年のリベンジをするんだという強い気持ちで走りました。ウエットコンディションはフィジカル的にはよかったのですが、長尾選手は僕の中では雨マイスターです。今回は何周か前にシケインで抜かれたときに、かなりのスピード差があったので、厳しいと思いました。あんなにトップを走ったのは何年かぶりです。ようやく自分のいるべきところに戻りました。来年はさらにもう1歩上のリベンジをします」

「チャンピオンを取れなかったこと、優勝できなかったことが悔しい」と南本宗一郎

3位/南本宗一郎(AKENO SPEED・YAMAHA)

「チャンピオンを取れなかったこと、優勝できなかったことが悔しいです。エンジンブレーキのセッティングだけ少し変えて、あとは大きくは変えずに臨みました。やってみたら変更したエンジンブレーキがききすぎて、ブレーキングが厳しかったです。前に出るのが遅かったのも敗因の一つです。僕は勝たなければチャンピオンはないという状況だから頑張ったのですが、今日の小山選手と長尾選手は速くて、無理でした」