いよいよ2026シーズン最終戦を迎えた全日本ロードレース選手権。舞台は鈴鹿サーキット。最終戦を楽しむために、ここまでの状況をおさらいしよう。

JSB1000

2026シーズン開幕前、2025年のJSB1000チャンピオンで、通算13回のシリーズチャンピオンを獲得している絶対王者の中須賀克行(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)が今シーズンいっぱいで引退することを発表した。「本当は最終戦が終わってから言いたかったけれど、シーズン前に自分がフル参戦最後の年だと明かすことで、最近は少しサーキットから離れている人も、『じゃあ見に行こうか』と、サーキットに足を運ぶきっかけになってくれればいいなと思いました」と中須賀。そして「シーズン中は引退の話はしたくない」と、開幕を前に戦闘モード全開にしていた。

その中須賀の強力なライバルと目されたのが2025年ランキング2位の水野涼(SDG DUCATI Team KAGAYAMA)だ。水野の2025シーズンは、第2戦スポーツランドSUGOの事前テストで大けがを負い、中盤戦まではケガの影響を感じる状況だった。しかし最終戦鈴鹿でダブルウインを達成。マシンセッティングのためのデータも各コースで集められ、ドゥカティでの参戦3年目となる2026シーズンは、万全の体制が整えられていた。

開幕戦は4月にモビリティリゾートもてぎで、4輪レースと併催の2&4で行なわれた。シーズンオフの間に全面路面張り替え工事が行なわれたコースには、所々にウエットパッチが残る難しい状況だった。決勝1周目、中須賀がそのウエットパッチにより足をすくわれてしまう。一方の水野はトップを快走、独走優勝を飾る。これを皮切りに水野の大躍進が続く。第2戦SUGOの2レース、第3戦オートポリスの2レース、第5戦もてぎの2レースのすべてで優勝。1レース開催の第6戦岡山は雨に見舞われ、優勝は長島哲太(DUNLOP Racing Team with YAHAGI)に譲ったものの手堅く3位に入る。タイトル争いでは、水野はランキングは2位以下に54ポイントの大差を築き、チャンピオンに王手をかけている。ドゥカティがタイトルを取れば、外国車初の全日本制覇となる。

水野の連勝を阻止した長島は現在ランキング2位につけ、タイトル争いにはわずかな望みをつないでいる。
最終戦はMFJグランプリとして開催されるため、獲得できるポイントは通常から3ポイントが加算される。通常は、優勝25P、2位20P、3位16P、4位13P、5位11P、6位10P、以下1点ずつ少ないポイント数で15位までが獲得できる。最終戦ではこれに3ポイントずつ加算され、優勝28P、2位23P、3位19P(以下同)となる。つまり、JSB1000は2レースで最大56ポイントが獲得できる。
水野と長島の差は54ポイント。水野が2レースでノーポイントもしくは1ポイント獲得にとどまり、長島が2レースで優勝した場合は、長島の逆転チャンピオンとなる訳だ。JSB1000では少数派のダンロップタイヤを履く長島。3年計画として始まったダンロップのJSB1000挑戦は今年で3年目。集大成を見せたいという強い気持ちを持っている。

中須賀はここまでの8レース中、4度の2位、1度の3位と4位という結果でランキング3位につけているが、第6戦岡山は優勝争いの最中に転倒を喫し、開幕戦に続き2度目のリタイアを喫している。2007年にJSB1000で初優勝を飾って以来、94勝を挙げている中須賀。引退の花道に向けても今シーズンの1勝を渇望しているのは間違いない。
しかし、JSB1000初年度の國井勇輝(SDG Team HARC-PRO.Honda)が2ポイント差、野左根航汰(Astemo Pro Honda SI Racing)は14ポイント差で中須賀に迫っている。中須賀は金曜日のART合同走行で、2分4秒016で総合トップタイムをマーク。自身のラスト2レースをどう戦うか。その雄姿をこの目に焼き付けたい。

また、今回の最終戦には有力チーム・ライダーが多数スポット参戦している。今年の鈴鹿8耐で5連覇を達成した高橋巧(Honda HRC Test team)は、8耐後に「(全日本)最終戦に出たい」と公言しており、その願いがかなった形だ。高橋のスプリントレース参戦は、2025年の開幕戦もてぎ以来となる。
ホンダ対ヤマハのエース同士、コース内外で対決をしてきた高橋と中須賀は、これまでお互いにリスペクトを持って戦ってきた。最終戦での直接対決は見られるか、期待しているファンも多いはずだ。なお、鈴鹿サーキットの全日本JSB1000コースレコードは、高橋が2019年にマークした2分3秒592から破られていない。

また、浦本修充(AutoRace Ube Racing Team)、ジョン・マクフィー(F.C.C. TSR Honda France)、渥美心(Yoshimura SERT Motul)と、世界耐久選手権(EWC)を戦う3チームもスポット参戦し、木曜日から始まったスポーツ走行でも上位につけている。特に浦本は木曜日に2分4秒188でこの日の総合トップタイムをマーク。浦本は昨シーズン、EWCとのダブル参戦により全日本は2戦を欠場したにもかかわらずランキング3位を獲得しており、今回も台風の目になることは間違いないだろう。

水野が王手をかけているタイトル争いに加えて、強力なスポット参戦組による激しい戦いが予想されるJSB1000。そして何より、これまで長年にわたって全日本を引っ張ってきた中須賀のラストランとなるスーパーバイクレースin鈴鹿。歴史に残る今大会を多くの人に現地で味わってほしい。
10月24日(土)に全クラス(J-GP3、ST1000、JSB1000、ST600)の予選とJSB1000決勝レース1、10月25日(日)に全クラスの決勝(JSB1000は決勝レース2)が鈴鹿サーキットで開催される。

第6戦終了時点JSB1000ポイントランキング
順位 ゼッケン 氏名 TEAM 合計ポイント
1 88 水野 涼 SDG DUCATI Team KAGAYAMA 191.0
2 45 長島 哲太 DUNLOP Racing Team with YAHAGI 137.0
3 1 中須賀 克行 YAMAHA FACTORY RACING TEAM 109.0
4 92 國井 勇輝 SDG Team HARC-PRO.Honda 107.0
5 4 野左根 航汰 Astemo Pro Honda SI Racing 95.0
6 6 岩田 悟 Team ATJ 71.0
7 10 鈴木 光来 TeamATJ 62.0
8 5 伊藤 和輝 Team SAKURAI HONDA 55.0
9 85 津田 拓也 Team SUZUKI CN CHALLENGE 50.0
10 95 西村 硝 S-SPORTS SUZUKI 47.0
11 44 関口 太郎 SANMEI T.TARO PLUSONE with SDG 38.0
12 50 児玉 勇太 MARUMAE Team KODAMA 34.0
13 46 星野 知也 TONE Team4413 BMW 30.0
14 24 吉田 愛乃助 TONE Team4413 BMW 17.0
15 12 日浦 大治朗 Team SAKURAI HONDA 17.0
16 21 中冨 伸一 RSN 16.0
17 32 羽田 太河 Astemo Pro Honda SI Racing 11.0
18 18 中村 竜也 I’s RACING 8.0
19 16 津田 一磨 Team BabyFace 8.0
20 26 中島 陽向 SHINSYU Re:N with TOTEC 5.0
21 33 柳川 明 KRP SANYO KOGYO & RS-ITOH 5.0
22 27 須貝 義行 TEAM SUGAI RACING JAPAN 4.0
23 31 菅原 陸 KRP SANYO KOGYO & RS-ITOH 2.0